ブランドマネジメントアワードで見た“企業経営とブランディング”

2025年11月1日、ブランドマネージャー認定協会主催の「ブランドマネジメントアワード2025」に参加しました。
選考を通過した9組が登壇し、それぞれがブランドの力で企業や地域をどう変えてきたかを発表。
10分という短い時間の中に、経営の本質がぎゅっと詰まっていて、どの発表もとても刺激的でした。
改めて、「ブランディングとは経営そのもの」だと感じた一日でした。
ブランドはロゴやデザインの話ではなく、会社がどうありたいかという“意思”を形にするもの。
ブランドの力を経営の現場でどう生かすか、そのヒントをたくさん得た一日でした。
事例:V字回復以上の力を持つブランディング
なかでも心に残ったのは、ある建設会社の10年がかりの取り組みでした。
当初は、売上の2倍の借入、女性比率1割、平均年齢50歳以上。
公共案件に頼る経営で、業績は安定せず、将来に不安を抱えていたそうです。
そんな中で、社長が掲げたのは「建設業からサービス業に変革したい!」という想いだったそうです。
この一言が、会社の方向性を大きく変えました。
ブランドマネージャーの支援を受けながら、複数の関連事業をまとめてホールディングス化し、
新しいホールディングス名を社員の公募で決定。
社員全員が“自分たちの会社をつくる”意識を持ち始めたことが、変化のきっかけだったそうです。
さらに、「家族のようなおつきあい」というブランドアイデンティティを設定。
キャラクターをつくり、営業しない・利益優先にしないという独自のルールを設けました。
一見すると非効率に見える選択ですが、その誠実さが信頼を生み、
結果的にお客様とのつながりが強まり、業績もV字回復。
経営計画書をもとに社内の方向性を統一し、女性比率は半分近くに。
若手も次々と活躍し、いまでは他社が見学に来るほどの会社になったそうです。
ブランドが経営を変えるとき
この事例を通じて感じたのは、
ブランディングとは「見せ方」ではなく「経営を進化させるプロセス」だということです。
ブランディングは時間のかかる取り組みですが(この企業では10年をかけた歩みでした)、
その積み重ねこそが、経営を強くするのだと感じました。
私がお手伝いしたいこと
経営支援の現場で扱う経営改善計画の策定は、目の前の危機を乗り越えるための実務的な活動です。
けれど、危機を脱したあとに求められるのは、企業がどう成長していくかという新しい視点になります。
そこにブランディングの考え方を導入できれば、再生ではなく“成長”へと向かう原動力になると実感しました。
今回の事例のように、業績が伸び悩むときこそ、
「これからどうなっていきたいか」を改めて見つめ直すことが大切です。
ただ、経営者様が一人でその答えを導くのはなかなか難しいのではないでしょうか。
経営コンサルタント兼ブランドマネージャーとして、
財務をはじめとした経営面と、想いを言葉にして形にするブランディング面の両方から、
経営者の「どうなっていきたいか」という想いに寄り添い、
次のステージへの挑戦を支えていくような存在になりたいと強く感じた一日でした。
